bamboo art: GEN Mitsuhashi________ 竹の造形 三橋 玄


作品解説  「朱雀」




「飛鳥 光の回廊」史跡:飛鳥宮跡(伝板蓋宮跡)にて
  "Asuka light festival" 2013 Asuka, Nara, Japan.
奈良県明日香村、2013年9月
width 16m, hight 7m


朱雀01


奈良県明日香村では、その全域を舞台に「飛鳥 光の回廊」というライトアップイベントを毎年開催している。
11回目の開催となった2013年に、アートを取り入れようという新しい試みとして依頼を受け、
「飛鳥宮跡(板蓋宮跡)」で「朱雀」を制作した。

明日香村は、約100年に渡る飛鳥時代に都があった場所で、多くの史跡があるが、
「飛鳥宮跡(板蓋宮跡)」は、その中でも重要なもののひとつだ。
歴代天皇が宮を置き、日本に本格的な国家が作られ始めた場所であり、
「一巳の変(大化の改新)」の舞台ともなった。


朱雀02


朱雀は、四神の一つ。
四神とは、「青龍」「朱雀」「白虎」「玄武」の四霊獣で、それぞれが四方を守っている。
東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武。
名前にある通り、それぞれが色を持っている(玄武の玄は黒)。
これに中央の黄を加えた五色は、中国の五行に通じ、密教仏教の五色にも伝わっている。
また、それぞれが季節を司っている。
「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」は、
それぞれ若年期、壮年期、熟年期、老年期と人の年齢ステージを例えられることもある。


朱雀03


明日香村で発見された「キトラ古墳」の石室に四神が描かれており、朱雀の壁画が残っているものとしては日本唯一である。
「高松塚古墳」にも四神が描かれていたとされるが、朱雀の面は破壊され残っていない。
鳥の姿をした朱雀は、蛇、虎、龍の姿をした他の三神に比べ、優しい存在に感じられる。
翼を広げた姿は明るく開かれているようにも思え、象徴する南、夏、赤も開放的なイメージではないか。
古代の都では、君子南面し、朱雀門は人々に開かれた入口である。

飛鳥の風景は優しい。なだらかな山に囲まれ、抱かれつつも開かれた里の姿は、理屈ではない懐かしさを感じさせる。
そんな飛鳥を、朱雀は象徴しているかのように思え、また、飛鳥の未来への想いを託し、朱雀を題材に選んだ。


朱雀04


私の制作は各制作場所特有の制約を受ける。その制約が私の挑戦となり、作品の個性にもなるのだが、
飛鳥での制作では、そこが史跡であるがため、杭を打つことが許されなかった。
作品を吊るワイヤーを張るための支柱を置くだけで固定しなければならない。
高さ6mの三角錐を単管で立て、それをコンクリート柱に固定することによって大きな「朱雀」を吊ることができた。
古代国家の里、飛鳥ならではの制約だった。


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「朱雀」は新聞記事として掲載された。

朱雀朝日新聞

朱雀産経新聞

朱雀読売新聞


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